納豆の品質向上を図るために,温度制御プログラムの開発を行った.あわせて発酵中の温度と酸素濃度をリアルタイムで測定した. (1) 糸引納豆の製造プログラムAを用いると,接種量は大豆1g当たり103個が最適であった. (2) 新たに納豆の品質改良のために5種類のプログラムを考案して試験した結果,初発42℃,途中で47℃に上げて3または4時間発酵し,20時間目に5℃に下げるプログラムが最も良かった(プログラム3と4).臭いが弱く,糸引きもよい製品が製造できた.プログラム3と4では発酵開始6時間目から急激に酸素濃度が低下し,低酸素濃度の状態が長時間持続した. (3) プログラム4で製造した納豆は40℃一定(プログラム1)で製造したものよりも糸引きが強く,中でもC菌で製造した納豆が最も糸引きが強かった.どの納豆試料のガスクロマトグラフィーでも同じピークが検出されたが,ピークの大きさが異なっていた. (4) 納豆用小粒大豆,アキタとシロメはプログラム4を使用した納豆製造において最適であった.豆腐用大粒大豆スズユタカも納豆用に適していた.アキタとシロメで製造した納豆はいわゆる納豆らしい香りを有していたが,スズユタカの納豆には豆の味が残っていた.