現在日本で栽培されている大豆品種のうち,作付面積が多い上位6品種について,主要大豆アレルゲンの1つであるGly m Bd 28Kの有無を抗Gly m Bd 28Kモノクローナル抗体を用いたイムノブロットで分析した.その結果,6品種中5品種はGly m Bd 28Kを欠失していることを明らかにした.このことは現在栽培されている国産大豆のおよそ半分がGly m Bd 28Kを欠失していることを意味する.またこの5品種の起源は日本各地に分かれていることから,Gly m Bd 28Kの欠失に関わる遺伝子が日本の在来品種中に広く分布していることが示唆される.さらにHAJIKAetal.が開発したβ-コングリシニンのα,α',β-サブユニットを欠失するフクユタカQT2系統は戻し親種のフクユタカと同じくGly m Bd 28Kを欠失していることを明らかにした.このように主要大豆アレルゲンの内で大豆アレルギー患者の血清反応率が2番目に高い2つのアレルゲンとさらにもう1つの主要大豆アレルゲンを欠失していることから,フクユタカQT2系統が低アレルゲン大豆開発の育種素材となるものと期待される.