玄ソバについて古くから行われている寒ざらし処理が,ソバ殻を除いた可食部の成分組成に与える影響を検討し,そば切りの品質向上効果にかかわる伝承の実証を試みた. (1) 寒ざらし処理後も,タンパク質,脂質,炭水化物,灰分,無機質,食物繊維およびルチンについては,ほとんど溶出していなかった. (2) 寒ざらし処理により,全ポリフェノール量の低下および遊離アミノ酸組成の変動が認められ,遊離アミノ酸の中ではγ-アミノ酪酸(GABA)が2倍に増加していた. (3) 成分含有量に大きな変化は見られなかったが,ポリフェノール量と遊離アミノ酸組成の変化は,そば切りの品質向上の可能性を示していると考えられた.