リンゴ搾り粕を有効利用するために,発酵と膜技術を組み合わせてリンゴ搾り粕からの芳香物質の生産技術の開発を行った. (1) 搾り粕に含有するリンゴの香気成分は水で抽出され,RO膜で回収された.しかし,抽出液の糖類は膜透過速度の減少を引き起こし,RO膜による香気成分の濃縮を阻害した. (2) 糖類の分解,濃縮率の向上,そして芳香物質の生産に適する野生酵母を果実から分離した.分離菌株は抽出液の糖類を分解することができ,n-ヘキサノールを多く生成した. (3) 有用酵母によるリンゴ香気物質の発酵生産と膜技術を組み合わせて,リンゴ搾り粕からリンゴ果実本来の香りがする芳香物質の濃縮液を生産することができた.