プロアントシアニジンが主成分であるブドウ種子抽出物(GSE)のDPPHラジカル捕捉活性の熱およびpHに対する安定性について,アスコルビン酸(AsA)と比較検討した.また,アルカリpH領域でゲル粘凋化を行う蒟蒻にGSEを配合し,そのラジカル捕捉活性の評価を行った. (1) GSEは,AsA, (+)-カテキン同様,濃度依存的にDPPHラジカル捕捉活性を示した.GSEは1分子あたりのフェノール性水酸基の数が多いため,これらの抗酸化剤中,最もラジカル捕捉活性が強かった. (2) 酸性域から中性域のpH領域で,GSEは熱に対して非常に安定だった.特に,pH 4.0, 100℃ 5時間処理でも捕捉活性をほぼ100%保持していた. (3) アルカリ域のpH領域ではGSEも若干活性の減少が見られたが,AsAと比べればはるかに熱に対して安定だった.例えば,AsAが完全に活性を失ったpH10.0, 100℃, 30分処理では,GSEは捕捉活性を約60%保持していた.以上のことより,GSEは熱,pHに対して非常に安定なDPPHラジカル捕捉化合物であることが証明された. (4) GSE配合の蒟蒻を試作し,本蒟蒻がDPPHラジカル捕捉活性を有意に示すことを確認した.同濃度配合のAsA蒟蒻では弱い活性値しか示さず,無配合蒟蒻は活性を確認できなかった.