小麦粉グルテンについて,陽イオン交換樹脂を用いて脱アミド化することを試みた.また,脱アミド化した試料と水との親和性を,低水分域では水分収着等温線の測定およびその熱力学的解析により,高水分域では溶解度の測定により評価した.さらに,未処理および脱アミド化処理した試料について起泡性および泡沫安定性の測定を行った. (1) 陽イオン交換樹脂を用い,全アミド量の30%が脱アミド化されたグルテンが得られた. (2) 水分収着等温線の測定により,脱アミド化を行うことでグルテンの水の収着量を高められることが分かった. (3) 水分収着等温線の熱力学的解析から,脱アミド化による水との親和性の向上の程度が定量化された. (4) 脱アミド化により,グルテンの水および塩化ナトリウム水溶液に対する溶解性が増加した. (5) 脱アミド化により,グリアジン,グルテン共に起泡性および泡沫安定性が増加した.