自己消化処理したシイタケが本態性高血圧自然発症ラット(SHR)の血圧に対してどのような影響を及ぼすかを検討した.シイタケを自己消化させることにより遊離アミノ酸含量が増加した.また,γ-アミノ酪酸(GABA)についても自己消化によりその含量が増加した.自己消化処理したシイタケ(AutolyzedLE)および処理前のシイタケ(LE)を飼料中へ2%添加した場合では,SHRに対してAutolyzed-LE投与群がコントロール群に比べて有意に血圧を降下させた.しかし,LE群はコントロール群に比べて血圧降下作用を示さなかった.AutolyzedLEおよびLEにはエリタデニンやアデノシンが存在することが確認された.次にAutolyzedLEとLEについてアンジオテンシン-I変換酵素(ACE)活性阻害効果を調べたところ,LEに比べてAutolyzedLEのACE阻害活性は5倍高かった.これによりAutolyzed-LEの血圧降下作用はGABA,アデノシン,ACE阻害活性成分などの相互作用により起こっていることが考えられた.AutolyzedLEおよびLEを食餌成分としてSHRに与えた結果,血清総コレステロール(TC),特に(VLDL+LDL)-C,トリグリセリド(TG),動脈硬化指数,リン脂質(PL)の値が有意に低下した.これはシイタケに含まれるエリタデニンの作用であることが考えられた.