3種の鮮度指標(K値,生菌数,揮発性塩基窒素)により,鮮度低下の速いサバとイワシについて,脱水シート包装による鮮度保持効果を評価し,以下の結果を得た.また,脱水シート包装した場合の魚のドリッ量および水分含量をポリ塩化ビニリデンシート(対照)包装した場合と比較し,脱水シートの効果を考察した. (1) K値を指標にした場合には,両魚種ともに,保存2日目以降に対照区との間に有意差が認めらた.特にサバの場合に大きな差違が見られ,保存2日目に対照区のK値は約30%に達してしまい,生で食せなかったのに対し,脱水シート包装した場合のK値は20%以下であり,刺身として充分食べられる状態であった. (2) 揮発性塩基窒素を指標にした場合にも,保存2日目以降に対照区との間に有意差が認められ,その差は保存日数の経過に伴い大きくなり,サバの3日目,4日目では約10mg/g,イワシ4日目では約10mg/gの差がみられた. (3) 生菌数を指標にした場合には,有意差は認あられなかった. (4) ドリップ量及び水分含量の測定結果から,脱水シートはほぼ完全にドリップを吸収していることが明らかとなった. 以上の結果から,K値及び揮発性塩基窒素による評価において,脱水シートの鮮度保持効果が明確にあらわれた理由は,脱水シートによるドリップの吸収が酵素反応における水分の抑制を促し,その反応速度の低下をもたらしたためと推察できる.