紅茶から抽出したテアルビジン分画の,生ハム抽出液に添加したボツリヌス神経毒素に対する効果を確認した. テアルビジン分画は,ボツリヌス神経毒素が神経終末細胞表面へ結合する前に混合することにより濃度依存的にに毒素の作用を阻止した. B型毒素の経口毒性を調べるため,毒素と生ハム由来の上清液との混合試料をマウスに経口投与した.本毒素は濃度依存的にマウスに運動麻痺作用を発現した.さらにテアルビジン分画の抗毒素能を調べるたあ,B型毒素,テアルビジン分画と生ハム上清液との混合試料をマウスに経口投与した.テアルビジン分画はマウスの運動麻痺を濃度依存的に阻止した. テアルビジン分画の食品への応用性を調べるため,テアルビジン分画に浸漬した生ハム試料を用いて官能試験を実施した.生ハムは熱湯抽出したテアルビジン分画に浸漬すると食味の悪化を呈した.しかしテアルビジン分画からタンニンなどの夾雑物を除去することにより,その抗毒素能は高まるとともに食味の悪化を防げると予想した.