ソバ植物体の生育時期を通してのポリフェノール含量及び抗酸化能(DPPHラジカル消去活性)の変動を調査し,その結果を基に,発芽後4日目の幼植物に含まれる主要成分を検索し,同定物質の含量変化を調査した. (1) ソバ2品種(階上早生,信濃1号)の地上部植物体を発芽後43日まで収穫し,メタノール抽出物のポリフェノール含量及びDPPHラジカル消去活性を測定した.その結果どちらについても,発芽直後が高かった. (2) 発芽直後のHPLCクロマトグラムでは,ルチン以外に4つの主要ピークが認められた.これら4つのピークの面積は発芽後減少を続け,19日目にはルチンのみが認められるようになった. (3) 発芽後4日目の植物体(岩手在来)を使用し,HPLCクロマトグラムの主要ピークを同定した.その結果,ソバ殻から単離しているビテキシン,イソビテキシンに加えてラジカル消去物質として,オリエンチン,イソオリエンチンを同定した. (4) 発芽直後には,ルチン以外にもフラボノイド化合物が高含量含まれていることが明らかとなり,ポリフェノールの供給源,即ち機能性食品素材としてソバ幼植物が有用であることを明らかにした.