アガリクス茸の新しい機能性を見いだすことを目的としてγ-アミノ酪酸(GABA)の蓄積をおこない,それが本態性高血圧自然発症ラット(SHR)への血圧上昇抑制に対してどのような影響を及ぼすかを検討し,次の結果を得た. (1) アガリクス茸を自己消化させることにより効率良くアガリクス茸にGABAを蓄積させることができた. (2) 飼料中へ5%アガリクス茸を添加した場合では,GABAを蓄積したアガリクス茸(AG-GABA)とGABAをほとんど含まないアガリクス茸(AG-M)のいずれもSHRに対して有意に血圧を降下させた,また2%アガリクス茸を添加した場合では,AG-GABA投与群はAG-M投与群よりも有意に降圧作用を示した. (3) AG-GABAおよびAG-Mには アンジオテンシンーI変換酵素(ACE)活性阻害効果が確認されたが,GABAにはその効果が認められなかった.このようにアガリクス茸が本来持っている血圧降下作用とGABAの血圧降下作用とがお互い協働してAG-GABAの血圧降下作用に寄与していることが支持された. (4) AG-GABAおよびAG-Mを食餌成分としてSHRに与えた結果,血清総コレステロール(特に(VLDL+LDL)-C),トリグリセライド,動脈硬化指数の値が低下した.