(1) ミンチにした生の鶏肉を130mm角,厚さ3mmのシート状に成型し,4枚0.28kgを5℃冷風乾燥すると乾燥速度は0.007kg/h (0.1kg/(kg-DM・h))できわめて遅く,含水率0.3 (23%)まで乾燥するのに45時間を要した.しかし,10℃, 2%食塩水で復水すると24時間で生肉の含水率2.6 (72%)に復元した. (2) 鶏肉試料を5℃冷風乾燥するときに,わずか40WのMw電力を供給すると,品温が20℃以下に保持され,乾燥速度は0.019kg/h (0.27kg/(kg-DM・h))に増大し,乾燥経過時間は1/4の12時間に短縮することができた.さらに,得られた乾燥鶏肉の復水性は改良され,含水率が3.0 (75%)で,生肉以上に水分を吸収し膨潤した.微弱なマイクロ波の併用が通風乾燥の欠点である表面硬化を防ぎ,タンパク質を変性させずに乾燥時間の短縮を可能にし,復水性も改良できたと考えられる.これは法的食肉製造基準にも適応している. (3)Mw電力40W (0.14kW/kg),通風温度60℃の乾燥では,乾燥速度が0.098kg/h (1.4kg/(kg-DM・h))で乾燥経過時間を2時間15分まで短縮できた.試料表面温度は40℃前後であったが鶏肉の白変が認められず,乾燥した試料の復水性が良く,生肉の状態に復元できた.これとほぼ同じ乾燥曲線をたどった80℃熱風乾燥では乾燥中に品温が上昇し白変が観察され,復水性は不良であった. (4) 乾燥中の最高品温が高いほど復水性が低下し,乾燥中に白変が確認された鶏肉は復水後の含水率が2(67%)以下で,復水性が悪い物となった. (5) 低出力のマイクロ波と通風乾燥を組み合わせることによって,乾燥中に肉の白変を抑え,短時間に乾燥した肉は生肉の状態に復元できた.しかも味付け等がなされていないため,種々の調理用食品素材として用いる事ができる,非加熱乾燥肉の製造の可能性が示唆された.