焦げ肉摂取による尿及び便中変異原に対する植物性乳酸菌の抑制効果について検討した. (1) 発酵乳は植物性乳酸菌 L. casei subsp. casei 327を109cfu/gを含むものを用い,変異原物質として牛挽肉を炒めたものを用いた. (2) 焦げ肉,尿及び便中の変異原物質はブルーレーヨン法で抽出し,変異原性試験を行った. (3) 被験者4人と少数で焦げ肉摂取により尿及び便中の変異原性の上昇を確認し,尿では6時間で,便では約3日間で排泄された. (4) 被験者8人で焦げ肉摂取時,発酵乳と焦げ肉摂取時,牛乳と焦げ肉摂取時の尿及び便中の変異原性を測定し,発酵乳を摂取することで変異原性が有意に低下することを確認した.対照食である牛乳摂取では明確な変異原性の低下は見られなかった. (5) 発酵乳を摂取することで腸内乳酸桿菌数の有意な増加が見られ,内2人の腸内乳酸桿菌が検出されない被験者で増加したため,当該乳酸菌が腸内到達性を有することが示唆された.