攪拌翼型平板膜モジュールを醤油製造工程での火入れオリ濾過に適用して,5年間にわたって評価し,以下の結果を得た. 1) セラミック膜の積層枚数を増加することで,ベンチスケールと同等の膜透過流束および濃縮倍率が得られた.また,攪拌翼型平板膜モジュールの消費動力は,見かけ粘度の0.09乗に比例したことから,高濃度懸濁液の濾過に適していることがわかった. 2) 醤油製造工程では,5年間にわたって安定した膜分離特性と醤油として転用可能な膜透過液を得ることができた.また,濾過期間中の膜の劣化は確認されなかった.最終的な全量醤油の歩留まりは,従来の90%から,99.7%以上に向上すると試算された. 3) 過去の火入れオリ膜濾過特性と,本研究で得られた特性を比較したところ,濃縮倍率,膜透過流束,消費動力特性の各項目で,全般的に他の攪拌翼型平板膜モジュールに対して,優れた特性を示すことがわかった. 以上より,攪拌翼型平板膜モジュールは,火入れオリ濾過に対して,有効であると判断された.