小豆の浸漬工程における吸水性と渋抜き効果に及ぼす脱気水の溶存気体濃度の影響について検討した.脱気度は,溶存酸素(DO)濃度を指標とした.浸漬時間の増加と共に小豆の吸水量及び有機成分抽出量は指数関数的に増加した.吸水量及び総ポリフェノールの抽出量は,脱気水のDO濃度の低下と共に増加し,DO=1ppm以下の脱気水で良好な効果が得られた.一方,DO=0.01ppmの脱気水に窒素ガスを飽和溶解させると,脱気水の吸水・抽出効果は消失した.粒餡の官能試験においても,脱気水の渋抜き効果に有意差が認められた.アスコルビン酸の酸化速度定数は,DO=1ppm以下の脱気水中で,大幅に減少することが示唆された.