ADモジュールを各種醤油製造工程に適用し,火入れオリ濾過以外の用途へのMFの導入効果について検討した.導入の可否は,膜透過液の特性,必要消費動力,MF導入による工程改善等より判断した. MF導入により,生あげ醤油の非加熱除菌工程,再仕込み醤油の清澄化工程,うすくち醤油の非加熱除菌工程,アミノ酸液の非加熱除菌工程の各工程では,製品品質の向上などの改善効果が認められた.これらの改善効果は,ADモジュールが有する低圧力損失特性により,高膜透過流束と高濃縮倍率が実現されるためと考えられた. 一方,全量醤油の清澄化工程では消費動力量の面で,本醸造こいくち醤油のUF濃縮残渣からのアミノ酸液回収工程で膜透過液の官能面で問題があるため,ADモジュールによる改善効果は確認されなかった. 醤油関連製品工程液間の膜透過流束の比較では,膜透過流束は製法とTN濃度に大きく依存する傾向が認められ,両者が決定されるとある程度膜透過流束が予測可能であることが確認された.