粳米澱粉の糊化に及ぼすカルシウム剤・マグネシウム剤の影響を超高感度示差走査熱量計,X線回折装置および動的粘弾性装置を用いて測定した.その結果を以下に要約する. (1) 粳米澱粉のDSC曲線で検知される2つの吸熱ピークは,炭酸カルシウムの添加により高温側のピークはブロードとなり,水酸化カルシウムの添加では低温側ピークは若干高温側にシフトし,高温側ピークは消失した.塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムの添加では,低温側ピークは高温側に移動し,硫酸マグネシウムでは高温側ピークも高温側に移動した. (2) 炭酸カルシウム,水酸化カルシウム,塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウム添加糊化粳米澱粉のX線回折パターンは,粳米澱粉単独と同様に回折線のないなだらかな山型の回折パターンであった. (3) 糊化粳米澱粉分散液の貯蔵弾性率は,水酸化カルシウムの0.5%までの添加で低下し,1.0%の添加で大きく増加したが,他の塩添加では顕著な差が認められなかった.