Aspergillus oryzae W-1起源のアルカリプロテアーゼインヒビター失活化酵素(AIE)は各種カラムクロマトグラフィーにより均一に精製された.本酵素の分子量は,SDS-PAGE法により約42KDaと算出され,等電点は4.7であった.本酵素の至適pHは6付近であり,至適温度は55°C付近であった.酵素は40°Cまでの温度やpH6∼10の範囲で比較的安定であった.本酵素は,トリプシンインヒビター,ロイペプチン,PMSFなどのインヒビターでは阻害されないが,HgCl2や p -CMBでは阻害された.本酵素はEDTAやオルトフェナントロリン等のキレート剤でも顕著に阻害された.しかし,HgCl2処理酵素は2-ME添加で活性が回復した.一方,EDTA処理酵素は2-ME存在下でCaCl2を添加すると活性の回復が認められた.プロテアーゼ-インヒビター複合体にAIEをpH5,37°Cで作用させると,アルカリプロテアーゼ(AP)の活性化が認められた.これらの結果から,AIEは細胞内でAPの活性化に寄与するものと推測された.