アセトンで脱脂した4.0gのマゴイ鱗を200cm3の0.025∼1.0moldm-3(M)の希塩酸で温度15∼30°C,時間15∼60分の条件で処理し,粗コラーゲンを分離した.ヒドロキシプロリンの含量および電気泳動の結果から,粗コラーゲンはtype Iコラーゲンであると確認した.また,粗コラーゲンの収率は脱脂鱗に対しおよそ80%であり,コイ鱗には粗コラーゲンが以前に報告したマイワシの鱗の2倍程度多量に含まれていると考えられた.さらに,希塩酸処理の最適条件は,希塩酸濃度0.10M,処理時間60分,処理温度25∼30°Cであると結論付けた. 脱脂鱗を1000°Cで加熱して得られた灰分の分析から,コイの鱗には,CdやCuがほとんど含まれていないため,分離されたコラーゲンの食品等への応用は可能であると考えられた.