大麦の加熱後の褐変に対する無機元素の影響を検討するため,大麦粉ペーストに内在する無機元素の0.3∼10倍に相当する濃度の無機塩やキレートを添加し,90°Cで2時間加熱した褐変後の色相に対する効果を調べた.銅と鉄では顕著に加熱後のL*値が低下し,濃度依存的な褐変促進効果がみられた.DTPA,EDTAやフィチン酸(0.1∼10mM)の添加で褐変が抑制されたことから,内在性の銅や鉄が褐変促進的に作用していることが示唆された.塩化亜鉛(0.05∼0.5mM)及びカルシウム塩(2∼20mM)は加熱後のL*値を増加させ,低濃度で褐変抑制効果があることが明らかとなった.