梅干しの製造工程において副生する梅酢の有効利用法を開発することを目的とし,梅酢から抗酸化性アリルテトラリン化合物lyoniresinolとlyoniresinolを主要な成分とするAT画分を調製し,抗変異原活性について検討した. 梅酢より単離したlyoniresinolは,リノール酸自動酸化抑制だけでなく,DPPHラジカル消去活性,スーパーオキシド消去活性などの抗酸化活性も示した. lyoniresinolおよびAT画分はともにTrp-P-2,EMSによる変異を抑制し,特に抗酸化活性が機序と考えられるTrp-P-2に対する変異抑制効果を強く示した.また,EMSに対する変異抑制効果からAT画分中にlyoniresinol以外に関与する成分の存在が示唆された.