リンゴ果実に及ぼす臭化メチルくん蒸処理の影響についての研究の一環として,本報では'ふじ'(無袋)果実を密閉容器に入れ,その中に直接臭化メチルを注入した場合の影響を果肉の物理性の側面から検討した.臭化メチル処理区ではすべての果実で果肉褐変が認あられた.通常の破壊法で測定した果肉硬度には処理果(褐変果)と無処理果の間で有意差が認められなかった.レーザー・ドップラー法で果実全体を非破壊的に測定して検出した第2,3共鳴周波数及び果肉の弾性率は処理果で低かった.同法で測定した,第2共鳴周波数から2kHzまでの間の振動強度の合計値は,いずれも処理果で低かった.これらの結果から,臭化メチル処理によって発生した内部褐変果の物理性の変化をレーザー・ドップラー法で測定した第2及び第3共鳴周波数,果実の弾性率,高周波における振動強度の低下によって非破壊的に検出できることが示された.