架橋したリン酸ジエステル型タピオカデンプンの糊化についてDSC法および偏光顕微鏡を用いて考察を行った.リン酸ジエステル型タピオカデンプンは,架橋を施していないNativeタピオカデンプンと異なり,粘性増加が大幅に抑制される事がアミログラムの測定から明らかであるにもかかわらず,DSC測定では糊化初期過程を示す非結晶化相転移温度がかえって低下することが分かった.偏光顕微鏡による観察においても,架橋デンプンは偏光十字が消失して非結晶化相転移が起こった後も,顆粒の膨潤がほとんど見られない様子が明確に確認できた.