Trp-P-2にS9mixを加え Salmonella typhimurium TA98を用いたエイムス試験により,味噌の抗変異原活性の向上に役立つ麹菌株を検索した. (1) 種麹メーカー所有の食品産業用実用株21株をそれぞれ単独に用いた味噌を製造,80%(v/v)メタノール抽出液の抗変異原活性を比較した. (2) 供試株中,AOK139またはAOK139を用いた味噌の80%(v/v)メタノール抽出液の抗変異原活性が高かった. (3) 最大の活性を示したAOK139を用いた味噌抽出液のIC50は対照の市販麹菌使用味噌抽出液の1/3程度であり,対照より明らかに高い活性を認めた. (4) AOK139,AOK138を用いた味噌の遊離脂肪酸量は試験した味噌の中で最も多く,抗変異原性との関連が示唆された. (5) 麹菌AOK139,AOK138使用味噌の脂質分解率の高さは米麹のリパーゼ活性およびセルラーゼ活性が他の菌株よりも高いことにより生じたことが示唆された. 以上の結果から,味噌製造時に強い脂質分解能力を示すAOK139,AOK138を用いることにより味噌の遊離脂肪酸量の増加,抗変異原性の向上が可能であることが明らかとなった.