アリルメチルスルフィド(AMS)に対して消臭効果を有する植物抽出物の探索を目的として,消臭活性スクリーニングを行い,以下の知見を得た. (1) 各種植物抽出物を用いてAMSに対する消臭活性評価を行った結果,甜茶,ヤマモモ樹皮,ユーカリ葉の水抽出物は高い消臭活性を示した. (2) 消臭活性の最も高い甜茶水抽出物(RSW)に対して脱ポリフェノール処理を行い,処理物中のポリフェノール含量と消臭活性を調べた結果,両者の間には高い相関性が認められた.また,RSWの分画により得られたポリフェノール高含有画分において,高い消臭活性が認められたことから,甜茶の消臭効果にはポリフェノール成分が関与していることが明らかとなった. (3) ガスクロマトグラフを用いて活性画分RSW-24とAMSとの消臭反応後の生成物を分析したところ,アリルメチルスルホキシド(AMSO)が検出された. (4) 嫌気条件下で甜茶分画物によるAMS消臭試験を行った結果,AMS消臭反応には酸素が必要であることが明らかとなったことから,甜茶の消臭反応としてポリフェノール成分存在下でAMSが酸化され,AMSOへ変換する反応機構が推定された.