(1) 魚類の初期鮮度を評価する目的で,"生きの良さ"と良い相関を示すK値を用いて,生可食限界値(Remaining days of validity; RDV)の推定を試みた. t °CにおけるRDVを定義し,下式で表した. RDVt = Tt ( K 2- K ')/ K 2- K 0 なお, Tt は t °C保存における刺身としての許容日数. K 2は刺身として食せる許容(限界)のK値,また, K 'は現時点でのK値を, K 0は非常に新鮮な魚肉のK値を示す. (2) これまでに公開されたK値の経時変化データと著者らが行った実験データを収集し,魚種及び貯蔵温度ごとに整理し,RDVを求める式を算出し, K '=15%(魚種によっては18%,30%)の場合のRDVをまとめて比較した.その結果,同じ魚種で同じ貯蔵温度でもRDVが異なる結果が得られたものもあった.これは,貯蔵中における微妙な温度変化の違いによるものと想定され,今後は,厳密な温度管理下での流通過程におけるK値データの収集が必要なことが示唆された.