著者等は現像像の擴散力を測定する二つの器械を作つた。 1) 視覺的器械はCallierの文献に依つて組立てた。試驗すべき感光膜の濃度は照明光をa) 散光とb) 平行とにしてMartens Headで測定した。散光は膜に接觸した乳白硝子を後方から照明して造つた。平行光は膜から330mmの距離に置かれてある乳白硝子から發するものを用ふ。擴散力の準據は散光濃度d20と平行濃度d2の比である。 2) 光電池使用の器械はGoldbergとEggert及びArchenholdg) 研究論文からヒントを得た。輝いたspotの像をその前に絞りのある光電池Aの上に作る。第2の光電池Bには若し輝いたspotとレンズ間に擴散媒介物が無いならば光が投射しない。光電池はmirror galvanometerに逆蓮結されて居る。現像像を挿入して光電池Aの照明された面積を, 擴散光で照射された光電池Bとの間に電壓差がない様に, 即ちgalvanometerの振れが無くなる迄, その前にある絞りで調節する。統りは光電池Bに於ける照明, 光電池Aに於ける照明の比率, 即ち挿入した感光膜の擴散力が大さい程大きく開かねばならぬ。 二つの測定機で數種の市販フイルムを測定した。種々の點で光電池法の方が優れて居る。 この實驗に當りCallierの方法の設計及び組立は宮川技師 (東京), 光電池法は杉山技師 (足柄工場) に依つて製作されたものである。著者等は兩氏に封し深甚な感謝を表すると同時に測定及び實驗に助力せられたる坪井林君及び非常な注意力を以て濃度測定にあたられた興津君代, 市川春江の兩嬢に對して亦深甚な感謝の意を表す。