以上の結果を要約すればおよそ次の事が言い得ると思う。 (a) 青年と両親との適応は優良な者が少く、殊にこの傾向は男子に強く見られる。 (b) 両親との適応は母の若い場合の方が良い。又男子ては同胞数の少い者ほど良いが、片親の有無は無関係である。 (c) 個人の向性と適応の間には逆相関の傾向が認められる。 (d) 拙適応及び巧適応の因子について考察した結果、青年に対する親の態度には、「きびしい所が少い」、「子供の友人に対する批判がない」「子供と共に娯しむ機会を持たない」「子供の悩みを聞いてやれない」、「現代青年の諸問題を理解しようとしない」等青年の内面生活えの洞察や指導に欠ける所が少なからざる実状にあり乍ら、「勉強ぶり」とか「帰宅時間」等の現状面についての干渉の少くないことが考えられる。しかし「どの子供も平等に扱う」とか、「将来の希望について干渉しない」とかいつた点に対してて非難すべきものはない。又、多くの青年が「小使銭の不足」を訴えているが、これは当然のことであろう。 (e) 前述の諸点から男女による適応上の差異が認められるが、この事は男女の本質的な相異に原因するもののほか、家庭生活に対する両者の態度の相違によるものと思われる。