本研究は, 意味的関連に関する一連の研究の一部である。 問題この第一報告においては, 連想法と, Osgood & Suciの提出したSemantic Differential法によって, 同意語と反意語の差異を, 客観的に分析しようという試みがなされている。 方法「賀集と久保の3音節動詞の連想価表」より, 同意語と反意語を含む10語が選ばれた。これらの語を分析する為に, 我々は, Semantic Differential法を採用したが, Osgood & Suciの方法に, やや改訂が加えられている。被験者は20名の学生である。 結果連想価に加えて,(Semantic Differentialによって測定された) Dスコアと因子負荷量が意味関係の測度として用いられた。その結果は以下の通りである。即ち, (1) 同意語においてはち連想価は大であり, Dスコアは小である, そして共通因子が抽出された。 (2) 反意語においては, 連想価は同意語の場合同様大であったけれども, Dスコアは大であり, そして因子分析の結果は, 反対の極を示した。 考察と結論以上の諸発見より, 反意語は同意語と明瞭に区別され, そしてSemantic Differential法が, Osgoodも言及している様に, 反対語を量的に分析するのに, 特に有用であるとの結論を得た。更に, 種々の型の反対語研究にSemantic Differentialを適用する可能性が認められた。