この研究では, 個人が「新しい集団に所属させられた時」 a) パーソナリティー b) 集団の誘引性 c) 新しい集団でのstatus d) 他集団でのstatus関係 によって, 彼の同調傾向がどのような影響を受けるかを実験的に研究した。被験者には, 中学校二年男子が使用された。被験者のうち “newcomer” と呼ばれる臨界被験者は “group member” と呼ばれる3人のサクラからなる集団に入れられ, 箱を作る課題が与えられた。そして, newcomerが3人のgroup memberの中で箱を作る過程の行動が観察された。neweomerの行動がgroup memberの行動と一致していれば, I-act, そうでなければO-actとした, newcomerがその集団に同調したかどうかは, このI-actとO-actの相対的割合によって判断した。 得られた結果は次のとうりである。 1, Y-Gテストに於けるパーソナリティーの各因子のうち, 同調傾向の高かった特性と低かった特性で, 有意な差があるものだけを表にするとtable 4のようになる。 2, 本実験では, 誘引性小にしたnewcomer群の同調傾向が, 誘引性を大はこしたnewcomer群より高かった。しかし, 時間の経過と云う観点からすれば, 誘引性小のnewcomer群が, 初めと終りの同調傾向にあまり変わりがなかったのに対し, 誘引性大のnewcomer群では時間の経過と共に同調傾向は高まっていた。 3, 新しい集団内で, newcomerのstatusを高める事は, 彼の同調傾向を高める事とはならなかった。 4, 本実験によって得られたデーターに関するかぎり, newcomerが同時に属している他の集団でのstatusは新しい集団での同調傾向と関件がなかった。