概念達成の実験に於ては通常導入される各次元の明瞭度は同等であることを前提としているが, この前提は必ずしも統制されているとはいえない。本実験では, 積極的に明瞭度の異った手がかりを独立変数として導入し, その概念達成に対する効果を調べた。 明瞭度の操作は, 各次元の二つの値の差を大なるもの (D型), 小なるもの (S) の二種類つくること, 及び, 刺激提示に際して命名を伴わせること, の二方法をとった。手がかりの明瞭度は, ゲス・セッションの導入によって推定を試みた。Conceptの次元がDである場合に, Sである場合より概念達成が速く, Conceptと一致した命名は学習促進, 不一致の命名は学習阻害効果があることの検証を試みた。次元の明瞭度によって異った結果が得られ, このような仮説は次元の明瞭度の一定の範囲内に於て採択されるのではないかということが考察された。また, 転移学習は, 初頭学習の明瞭度の操作には影響されない結果を得た。