本研究は, 課題の評価という状況で, ある個人の判定が, 与えられたstandardと一致した課題, 不一致であった課題, 並びに, 課題の再評価の際, standardに同調した課題, 非同調であった課同, 等の間にみられる課題想起率の差異を問題にして行なった実験の報告である。小学校6年生114名 (男女) を被験者として, 3枚1組の絵18組の評価を行なわせた。次に、「先生の判定」, 「小学校6年生の判定」のinformationを与え, 再評価を行なわせた。この手続から, 一致課題, 不一致課題, 同一課題, 同調課題, 非同調課題を分類した。評価後, 約25分たったところで, 評価した絵の題を思い出してもらった。その結果次のようなことが明らかになった。 1. 一致課題より不一致課題の題名想起率が高かった。 2. 同一課題, 同調課題, 非同調課題の間で想起率を比較すると, それは, 同一課題, 同調課題, 非同調課題に順に高くなった。 以上の結果をZeigarnik等の研究と考え合わせると, 一致課題より不一致課題に対して評価者のconflitは大きく, したがって彼の内部緊張も高まっていることが予想される。また, 再評価の際, 与えられたにstandardに同調することはconflictを解消することであり, したがって, 個人の内部緊張もそれだけ軽減されるのだという考察が可能となる。