本研究の目的は組織体内における監督者のPM式監督類型 (部下の認知より類型化した) が, 部下の認知, 態度ないし動機づけそして行動の終末結果に対していかなる効果を及ぼしているかを明らかにしたものである。 調査対象は九州各県及び中国地方の一部に支店をもつA, B両相互銀行の一般行員901名である。 A. PM式監督類型と生産性との間には次のような関係がみられた。 1. 従来の研究と同様に, 本研究でも, 高生産群にPM型の監督類型が多く, 低生産群にpm型の監督類型が多いという傾向がみられた。 2. しかし, 従来の研究と比較して, P型, M型の監督者が少なかった。これは銀行企業体のもつ特性であろうと考察された。 3. 低生産群に属するPM型の監督方式と高生産群に属するPM型の監督方式を比較した結果, SD方式による上役に対する敵意感情の部下認知が低生産のPM型において有意に高く, 部下の達成動機が有意に低いことが見出された。 B. PM式監督類型と他の諸変数との間には次のような関係がみられた。 4. R. Likertのいう監督者の支持的行動評価は, PM型の監督者において最も高く, M, P, pm型の順位となる。 5. 会議や集会の運営の仕方も, 相対的にPM型の監督者の下で部下の評価が最も高く, pm型の監督者が最下位の評価であった。P, M型は両者の中間の評価であった。 6. 上役に対する敵意感情の認知と監督類型との関係では, PM型の監督者の下で敵意感情が最も低く, 次にM, P型で, pm型が最も高かった。 7. いわゆるモラールと監督類型との関係は, PM型において最もモラールが高く, 次がM型, そしてP型, pm型のもとでは著しく低くなっている。 8. 職務・権限委譲過程では, PM型が職務達成にとって, 最も効果的な委譲をおこなっている。これに対照して, pm型は職務, 権限の委譲が著しく低く, 部下には成果の報告を厳しく要求していることが見出された。このことがpm型において最も高い敵意感情を部下に生起させているのであると解釈した。P型とM型はPM型とpm型のほぼ中間の傾向を示した。 9. 達成動機と監督方式の関係については, PM型の監督者のもとで最も達成動機が高かった。 10. 高生産群において, 達成動機が高く, 低生産群において, 達成動機が低かった。 11. 役席, 渉外一般行員は達成動機が高く, 内勤一般行員は, 達成動機が低いことが見い出された。