監督者のPM式監督行動が集団成員の達成動機に影響する過程および終末結果に与える効果を明かにするために実験室的な状況を設定した。作業者たる被験者は女子学生24名。被験者は高達成動機集団と低達成動機集団に2分された。一集団は3名の作業者で構成された。したがって高達成動機集団は4集団であり, 低達成動機集団もまた4集団であった。達成動機はMcClelland, D.C. 等が用いた4枚のスライドと同一のものを用い課題統覚法によって測定値を求めた。課題は穿孔されたIBMカードの穿孔数をできるだけ早く, 正確に数えて一定の方式で正確に分類するものである。監督様式は, PM, P, M, pmの4類型が導入され, 1回15分の作業が7回連続して実施された。結果を要約すれば次の通りである。 1. 監督行動類型, PM型, P型, M型, およびpm型は意図された如く設定されたことが確証された。 2. 達成動機高位群においては, 終末結果としての集団生産性は, PM型の下で最高でありP型が第2位, M型がそれに次ぎ, pm型が最低であった。状況満足度については, PM型が最も大でありM型が第2位, P型が第3位pm型が最低であった。これらの結果は従来の研究と基本的には同じ傾向である。 3. 達成動機低位群においては, 集団生産性は, P型が最も大であり, PM型, pm型, M型の順であった。後者の三類型間に有意差は見出されなかった。状況満足度は, P型の下で最低であり, 監督者に対する認知的敵意感情が最高であり集団凝集性が大であった。他方, PM型の下で状況満足度は最高であり, 監督者に対する敵意感情が最低であった。 4. pm型の指導条件下では, 達成動機の高位群と低位群の間に有意差が見出されなかったが, 全体的傾向としては, 達成動機高位群の方が低位群よりも終末結果としての集団の生産性は高度であった。