本研究は, PM式指導条件が, 知覚-運動学習におけるパフォーマンスとレミニッセンスにおよぼす効果について, 特に分散学習する条件下において実験的に検討せんとするものである。 課題は, 逆ひらがな書記課題。休止時間は10分, 休止前30試行, 休止後5試行 (何れも1試行30秒)。作業 (学習) 方式は, 分散学習方式で, 試行間休憩は30秒である。被験者は男子高校生。PM式指導条件は, PM類型 (PMI型, PMII型), P類型 (PI型, PII型), M類型 (MI型, MII型) そしてpm類型の7条件である。ここで, PMI, PIおよびMI型は, 作業 (学習) 方式との関連において, 適合性をもった指導類型群であるのに対し, PMII, PIIおよびMII型は適合性欠如の指導類型群である。 結果は次の通りである。 休止前試行におけるパフォーマンスの増加量は, PMI型を最高に, PI, pm, PII, MI, PMII型の順位であり, 最低はMII型であった。休止後試行におけるパフォーマンスの増加量は, PMI型を最高に, PI, pm, PMII, PII, MIの順位であり, 最低はMII型であった。 レミニッセンスに関する結果では, PMI, 型においてのみ有意なレミニッセンス現象が見出され, 他の指導条件下においては, 有意な傾向は見出されなかった。なかでも, PII型, MII型においては, レミニッセンス現象とは逆の有意なパフォーマンスの低下 (休止後第1試行において) が見出された。 PII型, MII型における休止後第1試試行におけるパフォーマンスの極端な低下, および, PMI型において有意なレミニッセンス現象が見出されたことは, レミニッセンス現象を反応性制止説のみで解釈することの限界を示すものである。 以上の結果から, 被指導者のモーチベーションを最高度に高める指導類型は, P的機能に, M的機能が相乗された場合であり, かかる相乗作用は, 生活体に顕著な積極的, 内発的な動機づけを喚起するものとして解釈される。