以上の研究をここに総括して考察すると次のことが指摘された。 1. ヘミセルロースAの沈澱に対する酸添加時の最も効果的pHは3前後である。 2. ホロセルロースよりヘミセルロースの抽出溶剤としてのNaOHの濃度については, 一般に濃度の増加と共に抽出量も比例し, 5~10%濃度にて一定の抽出量となる。 3. ヘミセルロースA>ヘミセルロースB>ヘミセルロースCの順に沈澱し易く, 且つヘミセルロースAはNaOHの低濃度で抽出され易く, その結果分子形が大きく, ヘミセルロースCになるにつれ分子形は小さい。 4. ホロセルロースの脱リグニンの効果的溶剤としてはブタノール>アセトン>エタノールの順であり, しかも50%濃度が80%濃度に比し効果性は著しく大きい。 5. ヨモギ葉のヘミセルロースBは多量に含むキシロースとガラクトースを主構成糖類とするが, 硫酸銅溶液を用いてヘミセルロースB1を分離したところ少量であるがフコースの存在を確認した。