本研究は, 実験者の言語教示が被験者の精神生理学的諸過程におよぼす効果を, PM式リーダーシップ論におけるP型およびM型のリーダーシップパターンを言語教示として適用することによって追求した。 被験者は, 健康な女子高校生16名を選び, 無作為に2群に分けた。 鏡映描写テストは施行法の教示後10回施行し, 同時に教示前, 中, 後および各試行中の血圧を測定した。鏡映描写器は誤り回数と時間とが自動的にカウントされ, 同時にベルがなる。P教示群には鏡映描写テストの速度と正確さを強調した言葉を, M教示群には不安, 緊張を和らげようとする言葉を用いた。 P, M2群のtask performance, 血圧変動を比較し, 以下の結果を得た。 1) task performanceに関しては, P教示は速度に対してpositiveな効果が認められ (それは教示中ではなく, 教示以後の試行において見出された), 正確度にはnegativeな効果が認められた。M教示は, 速度に対してとくに変化を与えず, 正確度にはpositiveな効果が認められた。 2) 血圧に関しては, 施行法の教示ならびに鏡映描写によりいずれも血圧は上昇した。P教示下では血圧が収縮期, 拡張期ともに上昇し, これは, M教示下の上昇よりもその程度が大であり, とくに拡張期血圧において著明であった。