本研究の目的はラットの優位-服従関係に及ぼす諸要因, すなわち, 実験Iでは性と体重, 実験IIでは隔離飼育によってひきおこされる攻撃の効果を検討するものである。実験は競争的回避場面で行なわれ, 2匹のうち1匹だけが電気ショックを回避できる。 次の結果が得られた。 1) 優位性は性, 体重, 隔離飼育による攻撃性とは関連がなかった。 2) Spearing Postureが雄-雄のペアーの70%に観察されたのに対し, 雄-雌のペアーには10%しか観察されなかった。 3) 社会生活を遮断された隔離飼育ラット間にもはっきりした優位-服従関係がみられた。 4) 8ケージの優位-服従関係構造は4つのタイプ, すなわち未構造型, スケィプゴゥト型, 独裁型, ハィエラーキー型に分類された。