視覚的媒体を利用して, 対象者についての刺激情報を示した際のパーソナリティ判断における規定要因を明らかにするために, 被験者の性, メガネ, 呈示, 対象者の性を要因として25尺度 (特性) について評定されたパーソナリティ判断について分散分析を行なった。 その結果メガネをかけることによってかけていない場合より知能が高く判断されることが, これまでこうした事実が明らかにされている諸国と文化的背景を異にするわが国でも見出された。 メガネをかけた場合に知能が高く判断されるのは, 対象者についての情報が不十分な条件下に限定されるというArgyleの理論を, メガネ要因と呈示要因の交互作用として検討した結果, 支持する事実を見出すことができなかった。 またメガネをかけることの効果が, 知能のみでなく他の多くのパーソナリティ特性におよぶであろうという予想は, メガネ要因が半数を越す多くの尺度で有意であったことによって支持されている。このことよりメガネをかけている, いないによって知能をふくめて数多くの特性についての判断が異なってくることが明らかになった。 メガネをかけることのパーソナリティ判断への効果が, かける人の性によって異なるのではないかという予想と一致する有意な効果は, 25尺度中わずか1尺度で見出されただけにすぎず, 実験的条件のもとでのパーソナリティ判断では, メガネ要因と対象者の性要因の交互作用は大きな効果をもつものではなさそうである。