PM式感受性訓練の場面においてなされる他者からのリーダーシップ評価が, 参加者の自己評価にいかなる効果をおよぼすかについて検討された。被験者は造船工場第1線監督者113名。訓練の初回会合直後 (表申で前と表記) と最終会合直後 (表中で後と表記) の2回, 10項目からなる自己評価質問紙に回答を求めた。訓練期間中3回にわたって, 他者からの行動評価 (PMリーダーシップ・タイプ) の結果が参加者各人にフィードバックされた。 結果は次のとおりである。すなわち, 第1に, リーダーシップ・タイプを混みにした参加者の自己評価はポジティヴに変化しており, 仮説1は支持された (ただし開放性と問題意識には変化がみられなかった)。 第2に, PMタイプと評価された参加者は魅力, 成功, 信頼, 統制, 目標については自己評価がポジティヴに変化しており, 従って仮説2 (a) は支持された。 第3に, pmタイプと評価された参加者については, 10項目のいずれにも自己評価のポジティヴな変化がみいだせず, 従って仮説2 (b) は支持された。 第4に, 終了時の自己評価は, PMタイプの参加者の方がpmタイプの参加者よりも7項目にわたって高く, 仮説2 (c) は, 一応支持されたと言える。 問題意識は, 高いリーダーシップ評価を受けたことによってむしろ高まる傾向があることが示唆された。トレーニング効果の測定に際しては, 参加者の相互作用を考慮に入れるべきこと, トレーニング内部の評価と参加前後の現場での評価とを有機的に結びつけて研究する必要があること, などが今後の課題として指摘された。