本研究は, 集団事態での問題解決の効果をより高めるための条件を求めて, 集団がとる解決ストラテジーの2条件-はじめ単独で, つづいて集団で解決にとりくむストラテジー (IGs) と終始集団でとりくむストラテジー (Gs) -についての実験的な比較検討を行ったものである。集団がとりくむ課題としては, ブレィンストーミング事態でのアイデアの産出を用いた。 小学校5年生, 集団内知能異質条件で構成した6人集団を対象とし, この集団に予め本課題と類似の課題に2回とりくむという手続きによる集団経験をさせた後, 本実験を行なった。 主な結果は以下の通りであった。 (1) IGs条件はGs条件に比べて問題解決に直接関連した内容の相互作用が多く, 課題無関連の相互作用が少ない傾向を示した。また, IGs条件では各発言はより手短かにまとめられている傾向があった。 (2) IGs条件はGs条件に比べて成員の問題解決への参加・貢献の偏りが小さい傾向が示された。 以上のような相互作用の結果, (3) IGs条件はGs条件に比べてアイデア産出量, アイデアの内容の多様性においてすぐれる傾向を示した。 (4) IGs条件はGs条件に比べて問題解決後の成員の満足度が高い傾向がみられた。 本研究の主な結果は, 先にわれわれが授業事態に近い複雑な事態で行なった研究結果と同じ傾向を示しており, IGs条件, Gs条件の効果に関する知見をより一般的なものとしたと考えられる。 以上の検討に加えて, 今後に残されたこの領域での問題の討論を行なった。