本研究は, 空間行動 (対人距離・体の向き) の発達的プロセスを, 性の組合せ・対人感情との関連において検討するために行われたものである。被験者は小学校3年生・同5年生・中学校2年生・大学生の男子ペア・女子ペア・異性ペアがそれぞれ10ペアずつ, 合計240名 (120ペア) であった。 それぞれのペアが, 好意的関係・非好意的関係の役割で, 話し合いの場面を演じているところが写真撮影され, 写真の分析によって対人距離と体の向きが測定された。 本研究の主な結果は以下の通りである。 1) 年齢が上るに従い, 同性ペアの対人距離が直線的増大を示す傾向があるのに対し, 異性ペアの対人距離は思春期前・思春期を頂点とする曲線的変化をたどる。 2) すべての年齢段階において, 男子ペアは女子ペアよりも大きい対人距離をとる傾向のあることが見出された。 3) すべての年齢段階において, 好意的ペアは非好意的ペアよりも小さい対人距離を示した。 4) すべての年齢段階において, 好意的ペアは, 非好意的ペアよりも直面して相互作用を行うことが多い。 5) 大学生になると, 直面よりもむしろある程度の角度をもった体の向きが多く現われるようになる。