本研究は管理者の職務異動・異動後の在職期間・異動時の職務類似性, 及び非異動管理者の在職年数がリーダーシップの変容に及ぼす効果について検討を加えるものである. 被験者は海運業務に携わる某企業体の従業員約800名である. 質問紙調査は三隅 (1970) の開発したPMリーダーシップサーベイを用いて, 約2年間のインターバルをおいて実施した. 分析は1回・2回のデータがそろっている管理者136名について行なった. (すべて男性である). 結果は次のとおりである. 1. リーダーシップM機能については, 異動群の相関が非常に低く, 非異動群との間に有意な差が見い出された (Table 1). 2. 異動群を職務による類似-非類似で分析したところ, 職務類似群は非類似群にくらべP機能の相関が高い傾向が認められたが, 有意差は認められなかった (Table1). 3. 異動群を配転後1年以内-1年以上に分けて分析したところ, 1年以内群はP機能の相関が低いが, 1年以上群は相関が高くリーダーシップの恒常性が認められた (Table 1). 4. 1年以上群及び類似職務群は1年以内群や非類似職務群に比べ, 計画P因子と専門性得点が有意に高いことが示された (Table 2). 5. リーダーシップの変容方向については, M機能は異動群に上昇群が有意に多いことが認められたが, P機能には異動群・非異動群間に有意差は認められなかった (Table 3・4). 6. 非異動群における在職年数とリーダーシップ機能との関係については, P機能に在職年数の増加とともにP得点の向上が認められた (Table 5・6).