本研究は, Equity理論を恋愛関係にあてはめ, 認知されるinequityの程度による心理的変数の相異をみると同時にEquityモデルの妥当性を検討することを目的とする。特にequity回復の行動的方法の検証を試みる。対象者は現実に恋愛関係にある男女学生各50名計100名。質問紙により, equity-inequityの認知, 情緒的反応, 自分のInputsを高める行動傾向, 相手がInqutsを高めることへの期待, 結婚の意図, 交際期間が測定された。認知されたinequityの5段階による傾向分析の結果, (1) 認知されたinequityの程度が大きいほど恋人たちの感じる心理的緊張も大きく, (2) その認知されたinequityの程度に応じて, 恋人たちは, inequityを低減もしくは解消させる行動に動機づけられるというEquity理論をおおむね支持するものであった。すなわち, 情緒的反応は, 認知されるinequityが大きくなると, 利得過剰であっても利得不足同様否定的となった。また, 行動傾向に関しては, 認知されるinequityが小さい場合には, 利得過剰の人は自分のInputsを高めることで, 利得不足の人は相手のInputsを高めることでequityの回復をはかろうとしたが, 認知されるinequityの程度が大きくなると, 行動はむしろ関係の破棄の方向に動機づけられることがわかった。本研究の結果と仮説との若干のずれに関して, 「分配公正」と「利得最大」の両原理の合成による検討が部みられた。