本研究では, リーダーシップ行動と認知されたリーダーのパーソナリティ (性格特性, リーダー資質) との関連性を, 職務特性による仲介効果を考慮しながら検討した。調査対象者は, 3つの企業 (製造業) に勤務する一般作業員230名。 得られた主な結果は, 次のとおりである。 1. リーダーの性格特性に関した認知次元としては, 「親近性」, 「人のよさ」, 「仕事への自信」, 「親分的貫禄」と命名される4つの因子が抽出された。これらの4因子は, 林 (1978, 1979) のいうパーソナリティ認知の基本3次元の枠組から捉えることが可能であった。 2. リーダーの資質に関した認知次元としては, 「部下中心志向」, 「仕事中心志向」, 「自己中心志向」, 「対人関係志向」といった4つの因子が抽出された。 3. リーダーのM行動と認知されたパーソナリティとの間には, 比較的強い関連性が認められた。それに対してP行動は, 8つの認知次元のうちで, 「仕事への自信」ならびに「仕事中心志向」とのみ関連性を示した。 4. 認知されたパーソナリティは, PM型リーダーが概して高評価を受けているのに対して, pm型リーダーのそれは, 低いものであった。また, M型リーダーは, 《力本性》や「自己中心志向」といった次元で高く認知される傾向にあった。 5. 職務特性の仲介効果は, 〈多様性〉とく協力の必要性〉の2特性について検討されたが, 結果は, 職務特性の種類によってその効果が異なることが示された。すなわち, 認知されたパーソナリティとP行動と関連性には〈協力の必要性〉が, M行動との関連性には〈多様性〉が相対的に大きな仲介効果を示した。 最後に, 本研究で得られたリーダーに対するパーソナリティ認知次元, リーダーシップ行動とパーソナリティ認知との関連性に及ぼす職務特性の仲介効果などについて討論がなされた。