本研究では, 感情のなかでも, その喚起および表出にメタ認知過程を媒介とする感情をメタ認知的感情とよび, そしてそのなかでも, 認知に対して促進作用をもつpositiveな感情をとりあげ, その喚起過程を検討することを目的とした。 研究1では, 不一致とメタ認知的感情との関係を検討することを目的とし, ここでは不一致の程度が増加すれば, メタ認知的感情の強度も増加することが示された。 研究2では, 不一致に対する解決方略とメタ認知感情との関係を検討することを目的とし, ここでは, 解決方略が複雑になるにつれてメタ認知的感情の喚起が高まることが示された。 これらのことより, メタ認知的感情は, 不一致の程度およびそれに対する問題解決によって決定されることが示唆された。そして, 本研究においては, メタ認知的感情は, 不一致の程度が増加し, 解決可能性が低くなればなるほどその強度は増加することが明らかにされた。すなわち, メタ認知的感情が喚起されるのは, スキーマによってなされる期待あるいは予期と, 認知との間に何らかの“ずれ”が生じたときである。そして, その強度は, 不一致の程度およびその解決に用いられる解決方略によって決定されることが示された。