1. 親和性の研究結果においてSchachter (1959) などの実験室実験と現実生活場面で得られたものとは一貫性が見られない。その食違いを解消するために実験室実験が実施された。 2. 実験は単独実験であり, 60名の男子大学生が“水の中に指をつける”, “電気ショックをかける”, “おしゃぶりなどを吸ってもらう”のいずれかの教示を与えられてから, 架空の他者に対する実際の親和選択行動が測定された。 3. 親和選択行動は被験者を誰もいない部屋か, もう一人の被験者が待っていると教示された部屋のいずれかに向かわせることにより測定された。 4. 実験教示の違いは親和選択行動に影響を与えなかった。しかし従来と異なり, 非親和者が58%と多かった。 また非親和者は不安得点が高く, 親和選択のための時間も短かった。 5. 親和行動の動因としては認知的明確さの要因, 非親和行動の動因としては困惑している自己を呈示することを回避する要因が指摘された。 6. これらの結果に対してRofe (1984) の親和の有用性理論からの解釈が提出された。