本実験は, ラベリングによって援助行動が促進される現象において, 従来援助行動の促進要因の1つとしてとりあげられてきた快感情の効果以外に, ラベリング独自の効果というものが存在するか否か確認するために計画されたものである。 実験条件としては, 次の4つが設定された。ラベリング群 (L群), 快感情群 (P群), ラベリング&快感情群 (LP群), 統制群 (C群)。各条件に大学生女子が19名ずつふりわけられた。ラベリング独自の効果を確認するため, ラベリングは, 被験者自ら自分に援助的であるというラベルを貼るという方法がとられた。快感情は, 簡単なジグソーパズルを解かせ, 良い成績であったというフィードバックを与える事で喚起された。援助行動としては, 実験者の落とした実験道具を拾わせるという手続きが用いられた。 各条件の援助率は, L (73.7%), P (68.4%), LP (84.2%), C (26.3%) であった。分析の結果, ラベリングの主効果, 及び, 快感情の主効果共に有意となった。但し, 交互作用は有意とならなかった。これにより, ラベリング独自の援助促進効果が確認され, 考察が加えられた。