本研究の目的は, 2つの分配様式すなわち衡平分配と平等分配に及ぼす属性水準の効果について検討を行うことであった。平等分配に関する実験Iにおいては, 属性水準条件 (高・低) が操作された。その結果, 属性水準は被験者が認知したもっとも公正な分配額と平等分配とのズレ ( D 値) に有意な影響を及ぼした。すなわち, 高属性水準条件の被験者は平等分配額よりも多い金額がもっとも公正であり, 低属性水準条件の被験者はより少ない金額をもっとも公正であると認知した。 衡平分配について検討した実験IIでは, 貢献水準条件 (高・低) と属性水準条件 (高・低) とが操作された。その結果, 被験者が認知したもっとも公正な分配額と衡平分配とのズレ ( D ′値) には属性水準の条件間に有意な差は見出せなかった。さらに衡平分配については, 各被験者が属性水準か貢献水準かのどちらの評定基準にウエイトを置くかによって, D ′値が変動しやすいことが示された。