本研究では, 阪神大震災による精神身体的影響について調査を行った。調査1では, 地震発生当日から約1ヵ月間に, 10代から80代までの748名の被災者に発現した精神身体的ストレス症状の実態を調査し, 避難状況別, 性別, 世代別に分析した。また, 調査2では, 地震発生当日から約3ヵ月間に, 3歳から5歳までの子ども1005名とその母親に発現したストレス症状を調査し, 両者のストレス症状の関連を検討した。調査1より, 避難所生活者は避難所以外での生活者よりも高いストレスを自覚していること, 性別・世代毎に比較すると60代の女性が最も高いストレスを自覚していることが明らかになった。また, 調査2より, 子どもと母親は物理的ダメージが大きい場合に強いストレス症状を示すこと, 母親にとっては避難状況や家屋に受けた物理的ダメージ以上に, 子どもの示すストレス症状の特徴が, ストレッサーとして強い影響力を持っていることが示唆された。